内部資料:アーカイブ
幸あれかし
昔々、山あいの小さな村に、「サチ」という名の少女が住んでいました。サチは誰にでも優しく、村人たちのために尽くす心の美しい少女でした。村は平和でしたが、ある年、大きな災いが村を襲いました。
その年、激しい嵐が何日も続き、田畑がすべて流され、村の作物は壊滅的な被害を受けました。村人たちは飢えと寒さに苦しみ、希望を失いかけていました。そんな中、サチだけは村のために何かできることはないかと考え、村人たちを励まし続けました。
サチは毎晩、村の神社に行き、静かに祈りを捧げました。「村のみんなが幸せに暮らせますように。どうか、この嵐が止み、光が戻りますように。幸あれかし」と。
ある夜、サチは神社でいつもより長い時間をかけて祈りを捧げました。その夜、サチは村のために自分の命を捧げる覚悟を決めていました。「私が犠牲になっても、どうか村に光を…」と心の中で願いながら。
翌朝、村人たちは目を覚ますと、空には美しい青空が広がり、嵐は完全に去っていました。田畑も再び緑が戻り、花が咲き誇っていました。しかし、サチは戻ってきませんでした。村の神社に行った村人たちは、彼女が祈りの最中に静かに息を引き取ったことを知り、深い悲しみに暮れました。
サチが最後に祈りを捧げた場所には、一本の桜の木が立ち、その木は毎年、村に光が戻った日になると満開の花を咲かせました。村人たちはサチの犠牲を忘れることなく、彼女の祈りに応えて村を再興しました。

本資料の原典はC531にて保存
機密番号の詳細については【機密情報の管理方法変更】を参照
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