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調査担当 日下部芳樹 木村太郎

- 調査概要
本調査は、A市民会館で過去に発生した歌謡フェスティバルにおける集団体調不良事故に関連して浮上した「お里沢市の呪い」に関する噂について、事実確認と原因究明を目的として実施された。噂に基づく調査を通じ、関連性が示唆される事象が複数確認されたため、現時点での調査結果を中間報告としてまとめる。 - 噂の背景と事実確認
「お里沢市の呪い」とは、A市民会館で大衆演劇の劇団が「お里沢市」という演目を上演した際に、不可解な現象が発生し、観客が意識不明となった一連の事件を指す。具体的には、リハーサル中から不可解な出来事(セットの自動的な動作や視覚障害、影の目撃)が頻発し、上演を強行した結果、観覧者の中から毎回少なくとも1名が意識不明となり、病院に搬送されるという事態に至ったものである。意識を取り戻した観客は、全員が「光の中で観音さまを見た」と証言していた。 - A市民会館Bホールにおける調査結果
事件の発生場所と席の特定: 調査により、事故が発生したのはA市民会館のBホールであり、該当する席はF13~17およびG13~17で、いずれも中央前方の席に集中していたことが確認された。
環境条件: 温度や湿度については、室内環境のため一定に保たれており、当時の天候も問題はなかったと記録されている。異常な環境要因は見当たらない。
関係者の消息: 上演を行った大衆演劇の劇団について調査した結果、劇団は既に解散しており、主要な関係者である座長・大河原武彦は5年前に心臓発作で死亡。他の団員についても消息が不明であり、追跡は困難を極めた。
被害者の証言: 意識不明となった被害者の数名に新聞記者を装ってヒアリングを実施した結果、全員が「光の中で観音さまを見た」という証言をしていたことが確認された。また、彼らは一時的に体調が悪化したが、その後は逆に健康が回復・ご利益があった等の証言も得られた。
過去の事件事故の有無: A市民会館において、これまでに同様の事件や事故が発生した記録は確認されなかった。 - A市民会館Bホールの構造および音響設計
A市民会館Bホールは特殊な観客席配置を採用しており、ホールの中央にあるステージを囲む形で観客席が設置されている。この設計により、音響がホール全体に均等に行き渡る構造となっている。
また、ホール内にはA市民会館を設計した建築家が企業と共同開発した、「グリーンスキン」と呼ばれる特別なパネルが設置されており、音響的には一貫したクリアな体験を提供することが可能である。この音響設計が事件に影響を与えた可能性について、成原氏に追加の建築的視点からの調査を依頼中である。 - お里沢市の物語と団体教典の関係
上演された「お里沢市」の物語は、団体が保有する教典の一節と一致していることが確認された。これにより、劇の内容が特定の宗教的教義と関連している可能性が浮上しており、引き続き検証が必要である。 - 収集実験との関連性
以前、木村太郎教師が提出した音響による効果増強に関する収集実験の報告書との関連が疑われている。特に音響が人々の身体的反応や意識状態に影響を与える可能性については、今後の調査でさらに詳しく検証する予定である。 - 今後の調査予定
現在、成原氏に対してA市民会館の音響設計と建築に関する追加調査を依頼しており、今後の報告を待つ。また、「お里沢市」に関する詳細な台本や当時の演出意図についても引き続き調査を進め、団体教典との関連性をさらに解明していく予定である。 - 結論
本調査において、「お里沢市の呪い」とされる現象が実際に発生していた可能性は高い。特に音響環境と宗教的要素の関連が示唆されており、引き続きさらなる詳細な調査が必要である。
(LV6)