A市七不思議:読んではいけない本

内部資料:アーカイブ


A市立中央図書館には、誰も手を触れないようにと警告されている「蕃神呪詛伝事」という本が眠っているという話がある。
この本は、A市がまだA村と呼ばれていた頃に製本されたもので、土地に纏わる伝説や儀式、歴史が詳細に綴られていると言われている。
この本を読んだ者は必ず恐ろしい呪いにかかるという。それは「だんだんと視力を失い、最後には眼が見えなくなる」というものだ。
まるで古の村人たちが、自分たちの秘密を外部に知られないように強力な口封じをかけたかのように。
図書館の職員たちは、この本に纏わる不可解な現象を目の当たりにしてきた。
そのため、本は書庫に厳重に封印されている。しかし、「蕃神呪詛伝事」の謎に魅了され、挑戦しようとする者が後を絶たない。
中には、その呪いが本当かどうかを確かめたいと、書庫に忍び込む好奇心旺盛な者もいる。
ある日、若い学生がその好奇心に駆られて書庫に忍び込み、その本を手に取った。
ページをめくるたびに、不気味な寒気が背筋を走り、目の前の文字が次第にぼやけ始める。
数ページ進むと、文字は完全に理解不能なぐらいに視力を失い、読むのを止めた時には強烈な頭痛が起こり、何も見えなくなっていた。
学生は半狂乱になり、逃げる途中で図書館内のどこかにその本を落としてしまったという。
今でも他の本に紛れ、図書館のどこかに眠っていると噂されている。

調査結果についてB666にて保存。

(LV2)

30/125