百目鬼めぐみ 経過報告書

内部資料:アーカイブ


2017年06月10日

被験者情報
名前: 百目鬼めぐみ (どうめきめぐみ) > 調整体108号
生年月日: 10月10日
血液型: AB型
年齢: 14歳

施術概要
百目鬼めぐみに対する記憶改ざん施術は、2014年10月10日に発生したバス転落事故による精神的外傷の軽減を目的として実施されたものである。本施術の主目的は、事故の記憶を削除し、家族の死に対する感情を希薄化することで、彼女の心理的安定を確保することにあった。施術は計画通り実施され、定期的な経過観察が行われている。

施術経過
施術後、対象は安定した精神状態を維持しており、記憶の断片的な回想や家族への感情的執着も大幅に減少している。スコポラミンとジアゼパムの投与を継続しつつ、週1回のカウンセリングを行い、今後の経過を観察中である。現在のところ、対象に明確な精神的不安定症状は認められない。また、安定中ということもあり並行して対象の調査・実験を行った。概要については以下の通り。

評価実験

  1. 選択実験
    実験内容: 対象に不運な事象を仕掛け、彼女の運の強度を観察する目的で、対象が日常的に使用する移動経路にランダムで罠を設置した。罠にかかった場合、高圧電流が流れる仕組みを10日間にわたって実施した。

    結果: 10日間のうち、対象は8日間無事に罠を回避。1日は罠が不作動、残り1日は誤作動により調査員が死亡。対象が極めて高い確率で罠を回避したことが確認され、彼女の運に対する驚異的な結果が得られた。

  2. 運の収集実験
    実験内容: 儀式により対象から「運」を収集可能かを確認する。運の収集作業を10日間にわたり実施した。

    結果: 対象からの運の収集が成功し、収集時には運の一時的な減少が確認された。しかし、翌日には運が完全に回復していることが確認された。実験期間中、彼女の世話役だった女性担当1名が心臓発作で死亡する事象が発生。実験との関連性について現在調査中。

  3. 身体的限界実験
    実験内容: 過酷な環境下で対象の運がどの程度維持されるかを観察するため、暗室に閉じ込め、極端な温度変化や腐食性ガスを用いた過酷な実験を実施した。

    結果: 実験当日、密室で腐食性ガス装置が爆発する事故が発生。観測者2名が死亡。原因は装置の不具合とされるが、彼女との因果関係については現在、追加調査を実施中。

  4. 社会的孤立実験
    実験内容: ある仮説の元、対象の人間関係を断ち、心身を孤立状態にさせ動向を観察する。前回の収集実験同様、「運」の収集と状態確認も日次で行う。

    結果: 日々の運の減少を確認。実験7日目に実験施設で原因不明の大量死亡事故が発生。研究員3名、技術スタッフ2名、保安要員1名、当日宿直していた全員が心疾患での死亡を確認。実験施設外での死亡者は確認されなかった。件のバス事故に関連した現象の可能性が極めて高いと考えられる。

総括
 百目鬼めぐみを対象とした一連の実験において、彼女の「運」の特異性が際立つ結果が確認された。選択実験では、極めて高い確率で罠を回避し、運の強度を示した。また、運の収集実験において、運の一時的減少が確認されたものの、翌日には完全回復が確認され、運の持続性が示唆された。さらに、身体的限界実験や社会的孤立実験では、装置の爆発や施設内での大量死亡などの異常事象が発生し、対象の運との関連性が強く示唆されている。

今後の実験においては、運の制御技術の確立を目指すとともに、対象に対する精神的および身体的な保護措置を講じつつ、長期的な経過観察を継続することが望まれる。

成原氏の分析結果についてはA079へ格納

(LV7)

84/125